幕専をつくる上での文字の取捨選択、いろいろな判断など

かんりです。

今日もまた、デザイン違いの話題です。幕専を作っていくうえで避けて通れないのがこのデザイン違いです。模型のシールレベルではあまり考慮する必要の無い話なのですが、幕専ではかなり重要度を持つ要素のひとつです。

 デザイン違いの扱いは色々とこちらの裁量で好き勝手にやっていますが、一応考慮の規準というかそういったところは考えています。出てきたものをすべてそのままカウントして実装していくわけではないので、実車の本物とは文字が異なってくるということがあります。この辺りで少しガイドラインというか、いい加減ですが方針というか、そういったところも一応書いておきます。

1.実例が複数あるか
 その文字が複数の資料に渡って出現しているかを調べます。これが1例でも別に例がある場合には、デザイン違いとして考慮される可能性が高くなります。「野」「高」「山」「川」など、頻出かつ例も豊富なものがあります。そうったものは全部取り込まれることも例外ではありません。

同じ文字が出てくるパターンは多い

同じ文字が出てくるパターンは多い

ガイドスクエアごとに部品化された文字は、同じ条件のものを流用していく

ガイドスクエアごとに部品化された文字は、同じ条件のものを流用していく

2.国鉄方向幕のレタリングを踏襲しているか
 かなり客観判断の難しいところですが、広く共通のデザインの風格を兼ね備えているか、別の文字と混ぜても違和感が無いか、などを見ます。実例が複数あっても、他と相容れないデザインのものは除外となります。例を挙げると、「新」の字のうち「新習志野」「新木場」に使われているタイプは、複数の実例がありますが除外になっています(しかし、例外的に首都圏標準データのみ矯正して入っています)。

異端の「新」 新木場

異端の「新」 新木場

異端の「新」 新習志野、こちらがオリジナルと思われる

異端の「新」 新習志野、こちらがオリジナルと思われる

3.1駅1例の場合
 1駅1例の場合は、その行き先が入った例が1つしかなく、文字の形が1つしかないパターンで、この場合は、上記2番の判断で取捨選択しています。本来なら別の例が存在するはずであるが、現存しない、資料が手に入らないものについてもこの扱いです。例えば「呉」、これは呉線「呉」の1例のほかに北陸線の「呉羽」があるはずですが、呉羽のコマが実車レベルですぐに消滅してしまい(七尾線電化開業により消滅と思われる)、資料が入手困難かつ現物の確認ができないため、1駅1例として扱っています。他にも、須磨「磨」、愛子の「愛」、こういったところも1駅1例に当たります。こういった例は非常に多いですが、従来図面にない文字を新規追加で当てる場合が多く、異端化してしまう例があります。共通図面で作られたものは幸運と言っていいでしょう。

呉 この文字を見て幕専を決意したといっても過言ではない

呉 この文字を見て幕専を決意したといっても過言ではない

須磨

須磨

愛子

愛子

4.誤差の範囲
 字の骨格が同じにも関わらず、スミ丸処理(Rの大きさ)や線の太さ(ウエイト)が異なるだけで、同じ図面から製造されたと思われる版については、これは共通文字として扱います。例としては先日紹介しました、「神」があります。12系の古い印刷技術で印刷されたものは丸みが強く出ているため、これらについては跳ねの底の丸みなどを電車側面のクォリティで配置したりしています。

5.矯正
 明らかな文字の誤りなどについては、重要度が高くないものはすべて修正していきます(輪島の輪、点のないミスプリントの都城など)。デザイン違いを複数格納できるデータの場合は、これを含めて投入している場合がありますが(信濃大町の種別あり等)、あくまで鉄道趣味家のみなさんへのサービス的意味合いが強いです。
 矯正で最も多いのが、縦横比の補正です。文字の相対的な大きさをそのままで投入すると違和感があるもの「天」「子」などがその例ですが、これらは組み合わせる文字に違和感が出ないように相対の大きさを補正しています。また、横幅が小さすぎるもの、例えば「宮」「小」「新」などはその大きさを横幅拡張で補正しています。瀬戸内タイプのデザイン違いには、Rの小さいもの(丸みが少ない)がありますが、これらも他の文字に合わせてRを大きく取るように補正したりしています。文字の線が太すぎるもの、細すぎるものも補正の対象です。全体的に違和感のないように細かなところでかなり変更を加えています。鹿島神宮などでは、スミ丸処理を忘れて、スミ丸処理がされていない部分があるものなどが見られますが、これらも修正しています。

丸印に注目 原版作成時に漏れたのであろうか

丸印に注目 原版作成時に漏れたのであろうか

 6.新製
 実車に例があるものの、1駅1例で異端すぎる場合や、複数例があるが上記の2番に沿わない場合などは文字を新製します(例:「輪」「陽」)。完全に実車幕に存在しないものは1から作ります(例:「脇」「渡」)。5番の補正作業が余りに大きく、新製と同じイメージになってしまう例もあります(例:「美」「箕」)。

 7.差替え
 前述の5番や6番に該当する場合かつ、その他の駅名で例があるデザイン違いの場合、別駅のデザインをあえて転用する、差し替えを行うことがあります。例えば山陽線103系の「笠岡」のコマでは、「笠」の字が前面幕の文字の圧縮であるため、側面の同じ漢字を使っている常磐線415系「笠間」の「笠」を当てています。
 企画データでは、原則として1駅1コマで実装していきますので、デザイン違いが複数入ることは稀です。路線データでは、その反面、デザイン違いを表現することにウェイトを置くため、ある程度無理やり組み合わせたデザイン違いが投入されます。

 悩ましい例が「実車方向幕に2通り以上の組み合わせがあるもの」です。先日紹介した「長野」は2例ありますし、「徳山」も2例以上あります。「南越谷」「岩見沢」「岩沼」「津田沼」こういったところも2例あり、こういった傾向は頻出の漢字が入ってくることによって図面参照先に差異がでることによって生まれているようです。またはメーカーによって作成済の版から使いまわし、結果として異なった字になる例もあると思います。
 幕専ではこういった場合、どちらか1例か、または全体バランスから考えて2例をさらに組み替え幕専オリジナルの組み合わせとしたり、1文字だけ差し替えたりということを行っています。客車列車と地区標準データで駅名が重複する例が出てくるときは事実上2例に対応できるので、それぞれのデザイン違いを投入する場合があります(例:旭川)。

 さて、全国区の幕専制覇にはまだ道のりは長いですが、いずれ日の目を浴びることになった時、全体で見て「違和感のないデータだ」「すばらしい編集だ」「これがデジタルとは信じられない」と、喜びの声をいただけるようにがんばりたいと思います。それぐらいの気合でやれ、ということであります。